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さくらいろ (4) 放課後、 私はなんとなく足が図書館へ向かってい た。静かな空間に癒やされる気がして、 よくここに 来る。 図書室のいちばん奥。 大きな窓からやわらかい日差 しが差し込む、古い木の机とイス。 私とあさくんが、 よく一緒に座っていた秘密の窓 辺。 その席に、先客がいた。 「…………林藤くん?」 彼は分厚い本を読んでいて、私に気づくと少し驚い た顔をした。 「澤田さん……もしかして、この席、 決まって た?」 「ううん、そうじゃないの。 ただ・・・懐かしくて」 「そうなんだ。実は俺も、何となく引かれて来てみ た。なんか、落ち着くっていうか…………不思議」 私は隣の席にそっと腰を下ろした。
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あの日々がよみがえる。 ふたりで本を読んで、小さ な声で笑って、 たまにくだらないしりとりをして。 机の端っこには、今でもうっすらと小さな彫り跡が ある。 " みのり + あさひ” 子どもの頃、ふざけて彫った、 消せない秘密。 見つ かったら絶対怒られるやつだ。 林藤くんが、無意識にその文字の上をなぞるように 指でなでた。 「...... 最近、変な夢を見るんだ」 ぽつりと、林藤くんがつぶやいた。 「夢?」 「うん。知らないはずの場所とか、人とか。でも、 懐かしい感じがして。 特に、 川沿いの道とか・・・・・・桜 の木の下で誰かと話してる夢」 「・・・・・・その“誰か” って、 どんな人?」 「顔は見えないんだ。 でも、 声とか、 雰囲気と か…………すごく、あったかい」 私は、本棚の陰に視線を落とした。 心臓の音が、どんどん大きくなっていく。
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「…………変、だよな。記憶でもないのに、 涙が出そう になるくらい懐かしいなんて」 林藤くんは笑ってみせたけど、その目はどこか寂し げだった。 「あのさ………昔のこととかって、覚えてる?」 「……………実は、あんまり覚えてない。小学生のとき、 事故にあったらしくて….....その前のことは、ほとん ど思い出せないんだ」 私は息を飲んだ。 「親には、そう言われてる。でも、本当のことなの か、自分でもよくわからない。 昔のこと、 たまに思 い出しかける気がするけど、 すぐに消えちゃう」
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林藤くんは、 遠くを見るような目で言った。 「この前、夢で“みのりちゃん” って誰かが呼んで た。起きたとき、その名前だけが、ずっと残って た」 「そう…………」 それ以上、何も言えなかった。 胸の奥が、ぎゅっと痛くなる。 でも、もう確信に近い。 あの人は、きっと―― 忘れてしまっても、ここにいる。
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Thank you for watching
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🪽🫧ねむ
ねむ~ .ᐟ
ありがと~ う .ᐟ.ᐟ
ネタバレ防止でやめときます((
ㆍキャー!待ってました!!
ㆍえ,実は〇〇くん〇〇〇〇ってこと!?ってことは本当は〇〇,〇〇だった説ある!?
ㆍ何が入るか当ててみて(?)