緩衝液は,酸や塩基を少量加えてもpHがほぼ一定に保たれる働きをもつ溶液である。一般に
弱酸とその塩、または弱塩基とその塩の混合水溶液が緩衝液になる。ここで,弱塩基である
アンモニアNH』とその塩である塩化アンモニウム NH 4 C1 の混合水溶液について考えてみる。い
ま、0.10mol/LのNH3 水溶液に NH4C1を溶かし,電離前のNH3と NHCl の濃度がそれぞれ
0.10mol/Lであるような混合水溶液 1.0L をつくった。この混合水溶液のpHは以下に示すような
手順で求めることができる。
(a)
NH3 水溶液では,次式のようなNH3の電離平衡が成立する。
(I)様(ベト
(1)式の電離平衡は,NH3 水溶液に NHCI を溶かしてつくった混合水溶液についても成立する。ま
た。混合水溶液中のNH 4 CIはほぼすべて電離し、この電離は
1.
のように表される。混合水溶液中では,アンモニウムイオンNHが多量に存在することになる
ので、(1)式の平衡は NH3 水溶液の場合と比べて著しく(ウ)に偏っている。したがって,この
混合水溶液では NH3 の濃度 [NH3] は 0.10mol/Lにほぼ等しいとみなすことができる。また,
NHC1はほぼ完全に電離しているので,NH4の濃度 [NH4] は 0.10mol/L とみなすことができ
る。
(1)式の電離平衡における電離定数 K は塩基の電離定数といい, [NH3], [NH4+], および水酸
化物イオンの濃度 [OH-] を用いて、 次式のように表される。
K₁ =
(I
.....
(3)SI-H
K は温度が一定のとき一定の値を示す。 また, [OH-] は水のイオン積Kw と水素イオン濃度[H+]
を用いて,
[OH-] =
((*)252
.........(4)
と表すことができるので, (3)式と(4)式を用いると, 混合水溶液の [H+] は, [NH3], [NH4+],
Kb, Kw を用いて
[H+] =
(()
.........(5)
となる。ここで(5)式を用いると, 下線部(a) の混合水溶液のpHを求めることができる。 25℃で
は,K = 1.8 × 10-5mol/L, Kw=1.0 × 10-14(mol/L) 2 であり, [NH3] と [NH4+] については前
述の近似を用いることができるとすると,[H+]はキ) mol/Lと求まる。 したがって, pH は
(ク)となる。
では、NH と NH4Ciの混合水溶液のpHの変化を考えてみよう。混合水溶液に強酸を少量加え
た場合、強酸から生じるH+は(ケ)と反応して()になるため, [H+] はほとんど増加せ
ずpHはほとんど変化しない。また、この溶液に強塩基を少量加えても,強塩基から生じる OH-
は(サ)と反応し(シ)と(ス)になるので, [OH]はほとんど増えず, [H+] もpHもほ
とんど変化しない。一方, NH3とNHCの混合水溶液に水を加えて薄めた場合にも, pHはほと
変わらない。
(b)