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視野を広げて●作られた「物語」を超えて
アフリカ大陸
赤道
上 ゴリラの調査地の一つてあるヴィル
ンガ火山群(筆者撮影)
左ドラミングをする
オスのゴリラ (筆者撮影)
ゴリラの生息域
16
山
[ m襲]
文章におCける具体と
文章の構
作られた「物語」を超えて
説の特性を踏まえて読み
成や論理の展開を評価する
物、キツネやタヌキをずる賢い動物と見なしていた。そう見えたのは、人間が彼らを追い詰
めて敵対的な行動を取らせ、それを人間に都合がいいように解釈してきたからである。いわ
ば、人間が作った「物語」てある。このような「物語」は動物たちに大きな悲劇をもたらす
ことかある。
私が研究しているゴリラはその格好の例である。十九
私たちは、野生動物の行動を誤解することかよくある。かつてライオンやトラを凶暴な動
山紀の中頃にアフリカで初めてゴリラに出くわしたヨー
コッパの探検家たちは、ゴリラをとても凶暴で好戦的な
動物と見なした。それは、二足で立ち上がり、てのひら
で交互に胸をたたくドラミングとよばれる行動を、戦い
を宣言していると解釈したからだった。ドラミングをす
るゴリラのオスを見て、襲われる恐怖におびえた探検家
たちは銃の引き金を引いてゴリラを撃ち設したのてある。
2
線H
やがて、ゴリラをモデルにした「キング:コング」という映
画が製作されて世界の人気をさらい、人々はますますゴ
リラを暴力の権化、戦い好きな怪物と見るようになった。
私がアフリカで野生のゴリラを研究するようになった一
のは、もう四十年以上も前のことだ。まだゴリラは暴力
的で恐ろしい動物と考えられていた。しかし、ゴリラの
- 「キング。コング」 文明社会て
大暴れするゴリラの怪物、キン
グ.コングを描いた映画。一九
三三年に製作されたアメリカの
映画を基に世界中でさまざまな
作品が作られた。
マ
権化 意
群れの中に入ってじっくり観察できるようになると、こ
のイメージは人間によって作られたものて、大きな間違
いてあることがわかってきた。
ゴリラの群れは十頭前後で、背中の毛が白いシルバー
バックとよばれるリーダーのオスを中心に、数頭のメス
や子供たちが寄り集まっててきている。ドラミングは二
16勇壮 意
Hト
勇社
つの群れが出会ったときによく起きる。どちらの群れか
らもシルバーバックが出てきて胸をたたき、辺りの草を
引きちぎり、小走りに突進して地面をたたく。近くて見 9
ていると、とても勇壮て迫力満点だ。探検家たちが恐れ
をなしたのも無理はないと思う。しかし、こういうとき
はめったに戦いにはならない。オスたちは少し離れてに
らみ合い、しばらく胸をたたき合うと、何事もなかった
かのように別れていくのだ。