Contemporary writings
Senior High
高校一年生 現代文 「ふしぎと人生」について
十二段落の[〜自分の気持ちもそこに込められているのではなかろうか]のところの「その」とは何を指しているのか
十六段落の〔〜存在全体に関わるものとして、〜〕というところで、神話が「存在全体に関わる」のはなぜか
この二つを教えて欲しいです。答えはありません。
いろいろ書き込んでて、見にくくなってます。すみません
75 ふしぎと人生
に表す
ふしぎと人生
はやお
河合隼雄
人間は毎日生活している間に、「あれ、ふしぎだな。」と思うときがある。それにも大
学びの位置
心から消せなそ、詳しく
調べたり考えたりすること
小さまざまがあり、ふしぎだと思いつつすぐ心から消えてしまうのと、あくまでそのふし生活の中の「ふしぎ」なことを
しぎさを追究していきたくなるのと、相当に程度の差がある。
②「ふしぎ」の反対は「当たり前」である。大人はだいたい「当たり前」の世界に生き
ている。ところが、それを「当たり前」と思わない人がいる。
5
1 万有引力 質量を持つ
すべての物体の間に働
く、引き合う力。
Newton (一六四~一七七)。
優などイギリスの数学者・物
考えて
りんごが木から落ちるのを見て、「ふしぎだな。」と思った人がいる。この人はそれだ「ふしぎ」ニュートン
けではなく、その「ふしぎ」を追究していって、最後は「万有引力の法則」などという
大変なことを見つけ出した。りんごが木から落ちることは、それまで誰にとっても「当
たり前」のことだったのに、ニュートンにとっては、それを「心に収める」のに大変な
努力が必要だった。そして、彼の努力は人類全体に対する大きい貢献として認められた。 p
「人間は必ず死ぬ。」 これも当たり前のことである。しかし、これを当たり前と思わず、
「人間はなぜ死ぬのか。」と考え続けた人がいる。釈迦牟尼は、それを心に収めるために、
3し
家族を捨て、財産も捨てて考え抜いた。彼の努力の結果、仏教という偉大な宗教が生まふしぎ」
れてきた。これも人類に対する偉大な貢献となった。
⑤このように考えると、「ふしぎ」と人間が感じるのは実にすばらしいことだと思われ
る。特にほかの人たちが「当たり前」と感じていることを「ふしぎ」と受けとめる人は、
なかなか偉大である、といえそうである。
⑥子どもの世界は「ふしぎ」に満ちている。小さい子どもは「なぜ」を連発して、大人
に叱られたりする。しかし、大人にとって当たり前のことは、子どもにとってすべて「ふ
しぎ」といっていいほどである。「雨はなぜ降るの。」「輝はなぜ鳴くの。」あるいは、少し手
が込んできて、飛行機は飛んで行くうちにだんだん小さくなっていくけど、中に乗ってい
る人間はどうなるの、などというのもある。これらの「はてな」に対して、大人に答えを
聞いたり、自分なりに考えたりして、子どもは、自分の知識を蓄え、人生観を築いていく。
子どもの「ふしぎ」に対して、大人はときに簡単に答えられるけれど、一緒になって
くなったりする。
「ふしぎだな。」とやっていると、自分の生活がそれまでより豊かになったり、おもしろ
子どもは「ふしぎ」と思うことに対して、大人から教えてもらうことによって知識を
吸収していくが、ときに自分なりに「ふしぎ」なことに対して自分なりの説明を考えつ
5
Isaac
する理学者・天文学者。
◆「心に収める」とは、(納得す
どういうことか。心にする
前?~
3 釈迦牟尼
前? 仏教の開祖。
本名はゴータマ・シッ
ぶっだ
ダールタ。仏陀・釈尊
などとも呼ばれる。
偉人はふしぎ」に収めることが
できなかた 追求した
ニュートンや赤
追求する努力
対する偉大な貢献をするかと
ほかの人たちが「当た
り前」と感じているこ
とを「ふしぎ」と受け
とめる人が、「偉大で
ある」のはなぜか。
「う」と思うで、どう
大人に答えを開
の
若えたり自分なりに考えて
人生を築 き
追究貢献 人生観
ふしぎと人生
くときもある。子どもが「なぜ」と聞いたとき、すぐに答えず、 「なぜでしょうね。」
と問い返すとおもしろい答えが子どもの側から出てくることもある。
⑦「お母さんはなぜミンミン鳴いてばかりいるの。」と子どもが尋ねる。
⑩「お母さん、お母さんと言って、が呼んでいるんだね。」と子どもが答える。そして、自
分の答えに満足して再度質問しない。これは、子どもが自分で「説明」を考えたのだろうか。
②それは単なる外的な「説明」だけではなく、何かあると「お母さん。」と呼びたくな
自分の気持ちもそこに込められているのではなかろうか。だからこそ、子どもは自分
の答えに「納得」したのではなかろうか。そのときに、母親が「なぜって、蟬はミンミ
ンと鳴くものですよ。」とか、「輝は鳴くのが仕事なのよ。」とか、答えたとしても「納
得」はしなかったであろう。たとい、蝉の鳴き声はどうして出てくるかについて「正し
い」 知識を供給しても、同じことだったろう。そのときに、その子にとって納得のいく、
答えというものがある。
⑩「なぜ、鳴いてるんでしょうね。」と母親が応じると、
「そのときに、その人にとって納得がいく」答えは、「物語」になるのではなかろうか。
蝉の声を聞いて、「蟬がお母さん、お母さんと呼んでいる。」というのは、すでに物語に B
なっている。外的な現象と、子どもの心の中に生じることとが一つになって、物語に結
晶している。
人類は言語を用い始めた最初から物語ることを始めたのではないだろうか。短い言語
でも、それは人間の体験した「ふしぎ」、「驚き」などを心に収めるために用いられたで
あろう。
⑤ 古代ギリシャの時代に、人々は太陽が熱を持った球体であることを知っていた。 しか
ほんとうに
し、それと同時に、彼らは太陽を四頭立ての金の馬車に乗った英雄として、それを語っ
た。これはどうしてだろう。夜の闇を破って出現してくる太陽の姿を見たときの彼らの
体験、その存在の中に生じる感動、それらを表現するのには、太陽を黄金の馬車に乗っ
英雄として物語ることが、はるかにふさわしかったからである。
⑩かくて、各部族や民族は「いかにして我々はここに存在するのか。」という、人間に 9
とって根本的な「ふしぎ」に答えるものとしての物語、すなわち神話を持つようになっ
MET
それは単に「ふしぎ」を説明するなどというものではなく、存在全体に関わるもの
として、その存在を深め、豊かにする役割を持つものであった。
言葉に表す
ところが、そのような「神話」を現象の「説明」として見るとどうなるだろう。 確か
に英雄が夜ごとに怪物と戦い、それに勝利して朝になると立ち現れてくるという話は、
ある程度、太陽についての「ふしぎ」を納得させてくれるが、そのすべての現象につい
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5
答えが「説明」だけ
ではなく、自分の気持ちも込め
おり、答えに納得した
◆「そこ」は、何を指し
ているか。
◆「納得のいく答え」と
は、どのような答えか。
外的な現象と自分
気持ちが一つになり、物語に
結晶した答え
1 四頭立ての金の馬車に
乗った英雄 ギリシャ
神話の太陽神ヘリオス
を指す。
◆ 神話が「存在全体に関
わる」のはなぜか。
供給 結晶
6
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