「合金だから融点降下(共晶)が起こるかもしれない」と考える方針自体は、化学の記述・思考として非常に鋭く、理にかなっています。しかし、今回の「鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)」という具体的な組み合わせにおいては、現実の材料科学的にも、高校化学の出題セオリー的にもその仮説が成立しないため、選択肢(c)は明確に誤り(バツ)となります。
ウッド合金(Bi-Pb-Sn-Cd)やはんだ(Sn-Pb)は、成分元素どうしが液体状態で綺麗に混ざり合うため、綺麗な共晶点を作って融点が大幅に下がります。しかし、鉄(Fe)とマグネシウム(Mg)は、金属の中でも極めて「非混和性(互いに混ざり合わない性質)」が高い組み合わせです。液体にしても水と油のように分離してしまいいます。
さらに、鉄が溶ける温度(1538℃)に達するはるか手前で、マグネシウムは沸騰(沸点 1091℃)してしまいます。そのため、一般的な溶解法で融点を大きく下げるような共晶点を作ることは不可能です。
入試問題として見ると、
百歩譲って未知の新素材だとしても、試験中には以下のマクロな視点から(c)を消去する必要があります。
金属結晶としての共通の性質を選ばせたい意図があります。
問6の正解である (b)(固体・融解で通電)や (e)(展延性・熱伝導性)は、すべての金属結晶に共通する「教科書通りの典型的な性質」です。出題者は、受験生に「合金になっても金属結晶の本質的な性質(自由電子に由来する性質)は変わらない」という大前提を選ばせようとしていると考えられます。
あと、実用面からの推測すると、
問題文に「医療現場で利用するためのマグネシウムと鉄のみからできた新素材」とあります。
医療現場(人工骨や骨固定プレートなど、生体内で強度を保ちつつ分解される材料を想定)において、500℃未満で溶けてしまうような「柔らかい(強度のない)金属」は構造材として機能しないため、実用化の文脈からも外れます。
解説が「個々の融点が高いから500℃)未満にならない」と一蹴しているのは、高校化学の範囲(個々の融点の足し引きや平均的なイメージ)で説明を完結させるための便法にすぎません。
ただ、入試化学を解く上では、「ウッド合金やはんだなど、教科書で教科書で『低融点合金』として明記されているもの以外は、極端な融点降下(常温付近や数百℃レベルの低下)は原則として無視して、マクロな金属の性質で判断する」という割り切りを持っておくと、今回のようなトラップを回避しやすくなります。
長くなりました。
共晶とか詳しくないので、参考程度で🙇