A
一 次の文章を読んで、あとの間いに答えなさい。
るがのち よ じょ
朝顔に釣瓶とられて もらひ水
やれ打つな 蝦が手を擦る 足を擦る
加賀千代女
小林一茶|
リをJS0さ
(B
一晩かかって何とか上に伸びようと、必死に蔓を釣瓶にからませた朝顔
を見て、無下に傷つけるのは忍びないと、わざわざ隣家に水を貰いに行く
この気持ちは、現在の私たちにも共感できる自然観ではないでしょうか
また困ったうるさい存在であるハエ、誰だって見ればすぐ打ち殺そうとす
るハエが、でもほら命乞いをしているのだから助けてやれよという、この
とっさのハエへの感情移入というか思い入れこそが、まさに生き物すべて
に対する、側隠の情とでも言うべき日本人の多くがまだ理解できる感情だ
と思います。
つい先日のことですが、「産経新聞」の投書欄に感動的な手紙が紹介され
ていました(二〇一四年六月三〇日)。井筒美海さんという小学生が書いた一
ものですが、私が述べてきた日本人の生き物に対する共感的な感情があふ
れている話なので、紹介したいと思います。
下校途中の美海さんは、車道の真ん中で苦しそうに羽をばたつかせてい
るアゲハチョウを見つけるのですが、そこにトラックが走ってきました。
「あぶない!」と息を呑んだ時、チョウの手前でトラックは停車し、お父さ
んより少し若い感じのおじさんが運転席から降りてきました。そしてチョ
ウの羽をつまんで、道路の端にそっと置き、美海さんの顔を見て笑顔で走
り去ったというのです。後続の車がいたにもかかわらずチョウを助けてく
れたことに、美海さんは、「私は感謝しました。チョウもきっとうれしかっ
たと思います」と書いています。
これはまさに、次の有名な小林一茶の句に通じます。
vSマ
J
雀の子 そこのけそこのけ お馬が通る
生まれたばかりの怖いもの知らずの小雀が、進み来る危ない馬を、なか
なかよける気配のないのを、はらはらしながら見守った一茶の気持ちは、
どうでもよい小さな蝶を反射的に救ってしまう、このおじさん運転手や小
学生の美海さんのような現代の日本人にも間違いなく残っているのです
ところでだいぶ前のことですが、私はアメリカのイリノイ大学で一年ば
かり日本語を教えていたことがあります。その際に、日本語の上級クラス