じしゅうい ものがたり
宇治拾遺物語
歌録みの効用
やまもり
つらづえ
今は昔、木こりの、山守に斧を取られて、わびし、心憂しと思ひて、頬杖
ほおづえ
山の番人
おの
困った
情けない
突きてをりける。山守見て、「さるべき事を申せ。取らせん」といひければ、
気のきいた歌でもうたえ。おのをかえそう
あ
よのなか
悪しきだになきはわりなき世間によきを取られてわれいかにせん
粗悪品でさえ、ないと不都合な
どうしたものか
と詠みたりければ、山守返しせんと思ひて、「うううう」と神きけれど、え
返事の歌を作ろう
せざりけり。さて斧返し取らせてければ、うれしと思ひけりとぞ。
できなかった
人はただ歌を構へて詠むべしと見えたり
いつも心がけて