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「小説
▼本誌P6~7
A
4 リ
S中
村田喜代子
B濃い緑色の葉っぱのあいだに、赤い実がぶらさがっている。夕日のようなトマトが五つ、畑になった。「ほ
れ、たみちゃん。カゴをお出し。」腰を曲げて畑に入ったおばあさんの上半身は見えない。ねずみ色のワ
ンピースのお尻だけが、畑の上に動いていた。わたしは手に持っているカゴをわたした。おばあさんは今
朝は三個のトマトをもいだ。これはいまから持って帰って朝食のお皿に載せるのだ。「ついでに畑蓮根もつ
むといい。」おばあさんが言うので、わたしはそれを五、六本、カゴにくわえた。細長い三角帽子みたいな
のに、小さなうぶ毛が生えている。うっかりなでるとうぶ毛が指にサさる。「ほれ、もう一つおまけ……。」
立派に膨れた茄子が一本、ほうりこまれる。手の中のカゴが茄子一本分だけ重くなった。おばあさんは腰
をのばし頭のタオルを手で押さえてのびをした。それが帰りのしるしである。
日畑を出て家の塀をまわって門の前にくる。朝が早いので道は明るかったが、ゆうべの虫がそのまま鳴き
続けていた。草やぶの中から湧きあがって空へ抜けていくので、虫の声はもうどこと言わずばらまかれ、
降るように聞こえた。清らかな河を渡るように、わたしとおばあさんはひたひたと歩く。
門を入って一戸のところに来たとき、おばあさんはようやく、「帰らなくていいのかい?」と、ぽつんと」
言った。「まだいいの。」おばあさんの顔が、ほっとやわらかになった。
台所ではみな子が菜っぱを洗っているところだった。「あとは刻むだけでいいわよ。」と彼女は言った。お
ばあさんの家に来て、みな子は早起きの習慣がついた。わたしたち四人は結局まだこの家に居続けること
になって、帰る日はエンキしたけれど、みな子の良い習慣はやがていいお土産になるだろうとわたしは思っ
た。そういえば勉強はたいしてすすまなかったが、みんな何かお土産を見つけることができたのである。
信次郎は外に遊びに行って日焼けし、漫画を読むくせが離れた。それはとても画期的なことだった。縦男一
は正座してごはんを食べることができるようになり、……それまではイスの生活がったのだ……、そして一
オルガンが両手でひけるようになった。わたしは五人の人間の食事の管理をすることができた。手伝うと一
いうことと管理するということがまるで違うことに気づくようになった。それは大きくなってもたぶん
わたしのものの見方や考え方に良い影響を与えるだろうと思われた。
わたしは台所の窓の前に立っていた。遠い家の庭先で鳴く鶏の声が聞こえてくる。わたしは自分の心が
風のようにすき透るのを感じた
要約のポイント 本誌で確認した事柄を整理
○響回
朝早く、「わたし」とおばあさんが野菜をつんで帰る場面。
「わたし」が、台所に立つみな子を見て、おばあさんの家での生活のことを思う場面。
「わたし」はおばあさんに、まだ帰らないことを告げた。
「わたし」たち四人は、おばあさんの家でお土産を見つけていた。
o「わたし」の心情
大きくなっても良い影響を与えてくれるお土産を得て、心がすき透るのを感じた。
V段落要旨 空欄部分を書いてみよう
「わたし」はおばあさんと、畑で朝食用のトマトと畑蓮根、茄子をつんで帰る。朝
2早く虫の声が響く道を、二人は清らかな河を渡るようにひたひたと歩く。
戸のところでおばあさんがようやく、帰らなくていいのかとぽつんと言う。まだ
帰らないと言うと、おばあさんの顔がMっとやわらかになん
台所ではみな子が菜っぱを洗っていた。おばあさんの家に来てみな子には早起き
の習慣がついた。「わたし」は、みな子の人い潜く
と思い、みんながお土産を見つけたと気づく。「わたし」は五人の食事の管理ができ、
平仮っことと管理すること同達?と気づいた。そ
|はいいお土産になる
れは大きくなっても「わたし」のものの見方や考え方に、良い影響を与えるだろう
台所の窓の前に立ち、「わたし」は心が風のようにすき透るのを感じた。
百字要旨12をふまえ、百字以内でまとめよう
おぼえておこう·重要語量
12画期的|ここでは、著しい進歩が見られるさま。もとは、新しい時代を感じさせるほど、
新しくすぐれているさま。
本誌の問題の解答を