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次の文章を読んで、各問いに答えなさい。
それから、何分かの後である。羅生門の楼の上へ出る、幅の広いはしごの中段に、一人の男が、猫の
ように身を縮めて、息をA ながら、上の様子をうかがっていた。楼の上から差す火の光が、かすかに、
その男の右のほおをぬらしている。短いひげの中に、赤くうみを持ったにきびのあるほおである。下人
は、初めから、この上にいる者は、死人ばかりだと高をくくっていた。それが、はしごを二、三段上っ
てみると、上ではだれか火をとぼして、しかもその火をそこここと、動かしているらしい。これは、そ
の濁った、黄色い光が、隅々にくもの巣をかけた天井裏に、揺れながら映ったので、すぐにのそれと知れ
たのである。この雨の夜に、この羅生門の上で、火をともしているからは、どうせただの者ではない。
下人は、のやもりのように足音を盗んで、やっと急なはしごを、いちばん上の段まで這うようにして上
り詰めた。そうして体をできるだけ、平らにしながら、首をできるだけ、前へ出して、恐る恐る、®楼の
内をのぞいてみた。
見ると、楼の内には、うわさに聞いたとおり、幾つかの死骸が、
範囲が、思ったより狭いので、数は幾つとも分からない。ただ、おぼろげながら、知れるのは、その中
に裸の死骸と、着物を着た死骸とがあるということである。もちろん、中には女も男も混じっているら
しい。そうして、その死骸は皆、それが、かつて、生きていた人間だという事実さえ疑われるほど、土
をこねて造った人形のように、ロを開いたり手を伸ばしたりして、ごろごろ床の上に転がっていた。
しがい
Bに捨ててあるが、火の光の及ぶ
(芥川龍之介「羅生門」より)
問1 空欄
A
に入る語句として最も適当なものをア~オの中から一つ選び、記号で答えなさい。
ア 転がし
イ 回し
ウ 生かし
殺し
オ 通し
エ
問2 下線部の「それ」とあるが、どのようなことを指していますか。最も適切なものをア~オの中か
ら一つ選び、記号で答えなさい。
ア 下人が楼の上に登ったこと。
イ 下人が楼の上の様子をうかがったこと。
ウ 楼の上で誰かが火をとぼし、動かしていること。
ェ 楼の上で夜中に火をとぼしているからにはただ者ではないこと。
オ 楼の上は死骸がたくさんあること。