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75 ふしぎと人生
に表す
ふしぎと人生
はやお
河合隼雄
人間は毎日生活している間に、「あれ、ふしぎだな。」と思うときがある。それにも大
学びの位置
心から消せなそ、詳しく
調べたり考えたりすること
小さまざまがあり、ふしぎだと思いつつすぐ心から消えてしまうのと、あくまでそのふし生活の中の「ふしぎ」なことを
しぎさを追究していきたくなるのと、相当に程度の差がある。
②「ふしぎ」の反対は「当たり前」である。大人はだいたい「当たり前」の世界に生き
ている。ところが、それを「当たり前」と思わない人がいる。
5
1 万有引力 質量を持つ
すべての物体の間に働
く、引き合う力。
Newton (一六四~一七七)。
優などイギリスの数学者・物
考えて
りんごが木から落ちるのを見て、「ふしぎだな。」と思った人がいる。この人はそれだ「ふしぎ」ニュートン
けではなく、その「ふしぎ」を追究していって、最後は「万有引力の法則」などという
大変なことを見つけ出した。りんごが木から落ちることは、それまで誰にとっても「当
たり前」のことだったのに、ニュートンにとっては、それを「心に収める」のに大変な
努力が必要だった。そして、彼の努力は人類全体に対する大きい貢献として認められた。 p
「人間は必ず死ぬ。」 これも当たり前のことである。しかし、これを当たり前と思わず、
「人間はなぜ死ぬのか。」と考え続けた人がいる。釈迦牟尼は、それを心に収めるために、
3し
家族を捨て、財産も捨てて考え抜いた。彼の努力の結果、仏教という偉大な宗教が生まふしぎ」
れてきた。これも人類に対する偉大な貢献となった。
⑤このように考えると、「ふしぎ」と人間が感じるのは実にすばらしいことだと思われ
る。特にほかの人たちが「当たり前」と感じていることを「ふしぎ」と受けとめる人は、
なかなか偉大である、といえそうである。
⑥子どもの世界は「ふしぎ」に満ちている。小さい子どもは「なぜ」を連発して、大人
に叱られたりする。しかし、大人にとって当たり前のことは、子どもにとってすべて「ふ
しぎ」といっていいほどである。「雨はなぜ降るの。」「輝はなぜ鳴くの。」あるいは、少し手
が込んできて、飛行機は飛んで行くうちにだんだん小さくなっていくけど、中に乗ってい
る人間はどうなるの、などというのもある。これらの「はてな」に対して、大人に答えを
聞いたり、自分なりに考えたりして、子どもは、自分の知識を蓄え、人生観を築いていく。
子どもの「ふしぎ」に対して、大人はときに簡単に答えられるけれど、一緒になって
くなったりする。
「ふしぎだな。」とやっていると、自分の生活がそれまでより豊かになったり、おもしろ
子どもは「ふしぎ」と思うことに対して、大人から教えてもらうことによって知識を
吸収していくが、ときに自分なりに「ふしぎ」なことに対して自分なりの説明を考えつ
5
Isaac
する理学者・天文学者。
◆「心に収める」とは、(納得す
どういうことか。心にする
前?~
3 釈迦牟尼
前? 仏教の開祖。
本名はゴータマ・シッ
ぶっだ
ダールタ。仏陀・釈尊
などとも呼ばれる。
偉人はふしぎ」に収めることが
できなかた 追求した
ニュートンや赤
追求する努力
対する偉大な貢献をするかと
ほかの人たちが「当た
り前」と感じているこ
とを「ふしぎ」と受け
とめる人が、「偉大で
ある」のはなぜか。
「う」と思うで、どう
大人に答えを開
の
若えたり自分なりに考えて
人生を築 き
追究貢献 人生観