(注4)
(注)
(注1)
次の文章を読んで、後の問いに答えよ。
(注2)
(注3)
また、この男、親近江なる人に、 いとしのびてすみけり。 さるあひだに、 この女の親、 気色をや見けむ、くぜち、まもり、いさかひて、日もすこ
ついひぢ
暮れば、鎖して、うかがひければ、女は思ひさはり、男あふよしもなくて、かろうじて、 築地を越えて、この男入りにけり。つねに、 もの
いひつたへさする人に、たまさかにあひにけり。 さて、それして、A「築地を越えてなむまゐり来 」といはせけるを、親、気色見て、いみじく
騒ぎののしりければ、B「さらに対面すべくもあらず。はや、帰りね」とぞ、 いひいだしたりければ、 C 「ゆく先はともかくもあれ、つゆにてもあ
はれと思はるるものならば、今宵帰りね」と、せちにいひいだしたりける。帰るとて、男、
b
3
みるめなみたちやかへらむ近江路は名のみ海なる浦とうらみて
とて、帰りぬ。また、女、返し、
(注5)
関山のあらしの風のさむければ君にあふみは浪のみぞ立つ
す
さりけれど、この男、いらへを = |せずなりにけり。 なにの身の高きにもあらず、 親 かく憎げにいふ、 めざまし。 女も親につつみければ、
てやみぬ。
さ
※『平中物語」(二四 近江守の女の全文。
この男この物語の主人公「平中」。 九世紀~十世紀の人物・平貞文であるといわれている。
2 親近江なる人 親が近江の守である人の娘。
3 すみけり女の家に通い、結婚生活をしていた。
4
みるめなみ「海 (み) 松) (め) 無み」すなわち「(淡水で) 海藻が無いので」。
関山 現在の京都府と滋賀県の境にある逢坂山。 かつては関所が設けられていた。