一、次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい
「今どきの若い者は」などというと、年寄りの言い分になっ
てしまう。でも私も還暦をすでに過ぎたから、そろそろOそれ
をいってもいい歳になったのではないかと思う。
その今どきの若い者だが、@私の年代とどこがいちばん違う
だろうか。もちろん平均身長からはじまって、さまざまな面に
違いがあるはずだが、ここで問題にしたいのは、脳のことであ
Q°
私が子どもの頃には、当たり前だが、テレビ放送はなかった。
今はそれがある。現代の子どもたちは、毎日どのくらい、テレ
ビを見ているのだろうか。
これについてはたくさんの調査があって、じつはその結果が
いろいろである。だから正確なところは不明だが、ともかくそ
うしたデータによると、どうも一日に三時間や四時間くらいけ
テレビを見ているらしい。それだけテレビを見ていれば、脳に
なにか影響があって当然であろう。その影響はもちろん、私C
世代の脳にはなかった影響である。
その結果、はたしてなにが起こるだろうか。
(仮想現実という表現がある。テレビの世界は、仮想現実の世
界だというわけである。今の子どもたちは、実際の世界ではな
く、仮想現実のほうに長く浸かっている。そう考える人もあ
うかと思う。
私はもう少し A に考える。仮想現実というむずかしいこ
とばを使う必要はない。@テレビと現実がいちばん違うとこる
ばどこか。テレビのなかの夫婦喧嘩から、茶碗や皿が子どもに
向かって飛んでくることはない。
B ドラマのなかで、主人公が知らずに危険に近づいていイ
子どもがその主人公に向かって「あぶないよ」といくら叫んで
も、残念ながら、テレビ画面のなかの主人公には聞こえない。
テレビの世界が現実の世界といちばん違うのは、そこであこ
n°
テレビの世界とは、子どもにとってほとんど現実-
のだが、実際の世界とのいちばんの相違は、テレビのなかの=
界の動きは、子ども自体の行動にいっさい関わりがないとい。
ことなのである。
そういう世界に長く子どもが浸かっていると、なにが起こ:
る。
実際の世界をテレビの世界のように見る技術が、上手に-
るはずである。 なにが起こっても、それは自分には関係がない
そういう態度をとりやすくなるはずである。脳にそういう癖、