ありし
田L
山E
もろこし
○時
唐土に侍りし時、人の語り侍りしは、「昔、この国の王の后の兄にてある人ありけり。には
○に
かに走り出でて、ここかしこ、跡も定めずぞありける。貧しくあやしき姿にてあれば、人も、
○あ
、何のあやめもなし。遠きほどにては、折にふれつつ、わびしくわづらはしき事のみありけり
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妹の后、からうじて呼び寄せて、さまざまに口説きて、「今よりは、のどまりておはすべし。
○あ
○れ
しめ
○れ
さるべき事も、はからひあて申さむ』と聞こえさせければ」「さに心そは侍ら防」とて居たる
○か
ほどに、また、人目をはかりて、逃げ出でにけり。かくする事、たびたびになりにければ、后
○お
も、。
この事かなはじとて、国々に宣旨申し下して、「あゃしのわび人のさすらひ行かむに、
○セ
○社
かならず宿を貸し、食ひ物を用意して、「ねんごろにあたるべし」Qそ得りける。さて、(その
んひとりのゆゑに、多くのわび人、みな。その蔭に隠れて、わづらひなくて、よろこびあひた
りけり一
なむ。
○か
う
○合
これは、その時、世の中にわび人どもの多くて、物も乞ひ得で、わび歩きけるを見て、かれ
○れ