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四月一日の入学式の日、私は新調の黒の小倉の服を着、帽子をかぶり、靴を履いて登校一
した。新入生は朝礼の時、老いた体操の教師によって整列する順を決められた。身長の最
も高いものが最右翼に置かれ、それからあとは背の順で次々と並ばされた。
る
私は初め列の中頃に並んでいたが、体操の教師は私に目を当てると、
「その帽子はずっと下がって」
と言った。どっと笑い声が起こった。私ははっきりと帽子と呼ばれたのが自分であるこ
とに気付いたので、すぐ自分の位置を変えた。
「もっと、もっと」
教師は言った。私は更に後尾近くに自分を運んだ。
もっと、もっと、こら、その帽子はずっと下がる」
笑い声が起こった。私は顔から火が出るような気持ちだった。最後尾から三番目に私の
席は決められた。
私が自分の位置に立っていると、老いた体操の教師は近付いて来て、私の前に立った。
そして彼は視線を私の頭から足もとに移し、あとはじっと私の足もとを見下ろしていたが、
その靴はこんど買ったのか」
と言った。
「そうです」
「大きな靴買ったもんだな。
ー体操ができるかな、それで」
こんどは体操の教師の言葉にはからかいの口調はなかった。