アフガニスタン駐在の英国大一
使ブリストウ氏は、部下の大使一
館員たちが出国した後もカブー一
ルに残った。通訳など英国に協一
力してきたアフガニスタン人ら
に出国ビザを発給し続けた。 英
国軍とともに最後に帰国したと、英メデ
ィアが伝えているマ自国軍が駐留してい
る国との比較は、慎重でなければならな
い。それでも我が国の大使館員たちが現
地スタッフを残して国外退避したという
事実には、割り切れなさを拭えない▼自
衛隊機もカブールに向かったが、現地ス
タッフやその家族ら約500人の退避は
できなかった。しかしこれで終わりにし
てはならない。確実な退避は、日本政府
が外交を通じて成し遂げねばならない課
題なのだマタリバン政権の崩壊後、政府
特別代表として現地に入った経験のある
伊勢崎賢治氏が先日の紙面でこう語って
いた。アフガン紛争で洋上給油に自衛隊
を派遣した日本も「参戦国」の一つであ
る。日本に関係の深い人たちがいま危険
にさらされているのだと▼日本政府がネ
ット経由で「命のビザ」を発給すること
を伊勢崎氏は求める。命のビザは第2次
大戦下でリトアニアにいた外交官杉原千
敵にちなむ言葉である。助けを求めて領
事館を囲んだユダヤ人に、杉原は独断で
出国ビザを出し続けた▼妻幸子の書いた一
『人の命のビザ』に杉原の言葉があ
る。「私を頼ってくる人々を見捨てるわ
けにはいかない。でなければ私は神に一
背く」。彼の行為が心を打つのは、人
としての倫理観がそこにあるからだ。
天声人爵