中納言参り給ひて
たかいへ
はべ
N
おほんみ不ぞとてま
中納言参り給ひて、御扇奉らせ給ふに、「隆家こそいみじき骨は得て侍れ。
それを、張らせて参らせむとするに、おぼろけの紙はえ張るまじければ、求
め侍るなり』と申し給ふ。「いかやうにかある。 と問ひ聞こえさせ給へば、「す
べていみじう侍り。『さらにまだ見ぬ骨のさまなり』となむ人々申す。まこ
リJ
とにかばかりのは見えざりつ」と言高くのたまへば、「さては、扇のにはあ
人なんなり)
acnd
らで、くらげのななり。と聞こゅれば、「これは隆家が言にしてむ。とて、
笑ひ給ふ。
かやうのことこそは、かたはら いたきことのうちに入れつべけれど、「一
つな落としそ。と言へば、いかがはせむ。
【第九十八段】