2つというのが少し難しいですね。
1つは簡単で、「ハロゲンのイオン(原子)半径が大きいほど解離エネルギーが小さくなる」といったところでしょうか。
これはいくつか説明の仕方があります。高校範囲では原子半径が大きいほど2原子の距離が遠いためH-X結合(Xは一般にハロゲンを表します)が弱くなり、切断しやすくなるといった説明が無難だと思います。
2つ目は強いて言うなら「電気陰性度が大きいと解離エネルギーが小さくなる」でしょうか。2個目はあまり自信がありません。
一般的には電気陰性度が大きいと、解離エネルギーは小さくなります(後で説明)。
今回のケースでも写真の通り、HFとHClの解離エネルギーの差はHClとHBrの差のおよそ2倍です。しかし、FとClの電気陰性度の差はClとBrの差の4倍あります。
電気陰性度は4倍も大きいのに、解離エネルギーは2倍しか大きくなっていません。
ここから、電気陰性度の大きさと解離エネルギーの大きさが負の相関を持つことが分かると思います。
以下、電気陰性度が大きいほど解離エネルギーが小さくなる理由です。
HX→H+ + X-
解離エネルギーとは上の反応を起こすのに要するエネルギーです。
「反応が起こりやすい=結合が切れやすい=解離エネルギーが小さい」ということになります。つまり、解離エネルギーを考えるには、反応の起こりやすさを考えればよいのです。
反応の起こりやすさを考える要素として、生成物の安定さという指標があります。自然界では、物質は安定な状態を取ろうとするため、式の右側が安定であるほど反応が起こりやすいことになります。
このとき反応式中のX-(ハロゲン化物イオン)について考えます。電気陰性度が大きいほど強く電子を引き付けている状態ですから、電子があっちこっち飛んでいきにくく安定になります。
つまり、イオンの状態では電気陰性度が大きいほど安定となります。そうなると、電気陰性度の強い順に上記の反応は起こりやすくなります(=解離エネルギーは小さくなる)。
今回の問題とあまり関係ありませんが、ハロゲン化水素を切断するということはH+が出てくるということなのでハロゲン化水素はブレンステッド・ローリーの定義における酸となります。
ハロゲン化水素の解離エネルギーを考えるのは、酸性度を考えるの、すなわち、水素イオンの出しやすさを考えるのと同じことです。
結合が切れやすい(解離エネルギーが小さい)ほど酸性度が高いということになります。
大学に入ってから有機化学に触れる機会があれば、このような酸性度の決定にも触れることと思います。
今回の原子半径や電気陰性度も酸性度を決定するための1つのファクターになってきます。
以上余談でした。

1つ目の半径が大きいほど解離エネルギーが小さくなるというのも、反応の起こりやすさから考えることができます。
X-のイオン半径が大きいほど、電子が分散して存在できるため、イオンが安定します。半径が小さいと電子がぎゅうぎゅう詰めになって反発し合うため不安定です。
一般に、同族元素の間ではイオン半径が、同周期元素では電気陰性度がより強い影響を与えます。
同周期元素では半径の差は少ないですし、同族元素では最外殻が1周分多いので、半径の差が顕著に現れます。
今回はハロゲンの中で比べているのでイオン半径の影響の方が強く、周期表で下(半径が大きいもの)にある原子の方が解離エネルギーが小さくなっています。
難しいことを言ったと思うので、分からないところがあったら遠慮せず聞いてください。