まず、あとで解説しますが、「非慣性系で考えると力がつり合っているように見える」という表現より「小球と共に回転する観測者で考えると、力がつり合っている」のほうが適切です。
では、「小球と共に回転する観測者で考えると、力がつり合っている」とは、どういうことか。
身近な事柄で言えば、静止した状態から加速し始めた電車の中にいる観測者は、電車(あるいは電車の中で)が静止していて、周りの景色が加速して動いているように見えるというものです。
つまり、ある物体と同じ運動状態の観測者からその物体を見ると、その物体は静止していて、周りの景色が運動しているように見えるということです。
よって、小球と共に回転する観測者から小球を見ると、小球は静止していて、周りの景色が動いているように見える。
また、小球は、静止しているように見えることから、力がつり合っていると考えられる。
これが、「小球と共に回転する観測者で考えると、力がつり合っている」の意味です。
(観測者は小球と共に等速円運動をしているので、遠心力(慣性力の1種)を考慮する必要がある。)
逆に、静止した観測者(慣性系)から小球を見るとどうなるのか?
小球は等速円運動をしているので、向心方向に加速度運動を行うため、力はつり合わず、運動方程式を立てるのが正しい。
次に、慣性系で考えるか、非慣性系で考えるか
→どっちで考えても結果は変わらない。(結果が変わらないようにするために慣性力を考えているため、当たり前。)
よって、なるべく運動が単純でわかりやすく見える立場を選べば良い。
(わざわざ、物体と共に円運動をする観測者の立場(非慣性系)を選ぶ必要はなく、遠心力を考えなくても良い円運動を外から静止して見た観測者の立場(慣性系)で運動方程式を立てるほうがオススメ)
最後に、「非慣性系で考えると力がつり合っている」という表現はなぜ不適切か。
そもそも、非慣性系とは、慣性の法則が成り立たない観測者の立場(つまり、慣性系(慣性の法則が成り立つ観測者の立場)に対して加速度運動をしている観測者)であり、この条件を満たす観測者の全ては非慣性系と呼べる。
よって、落体の運動をしている観測者も、斜面上を滑る観測者も非慣性系であるが、それらから見ても物体がつり合っているようには見えないため、「非慣性系で考えると力がつり合っている」というのは不適切である。